わたしと災害2 台風

2024年03月06日
わたしと災害 2台風

 

林の近くに住んでいたことがあります。林には鳥居があってその向こうに海がありました。元寇のとき人が来たとかいう海で青い海だった。(自転車で1時間行ったところの大学の近くの海はみずいろだった。)

その林は海に近づくほど木が傾いていた。ずっと歩くと姪浜という街に着く。林のそばのインドカレー屋はカレーの種類が少なかった。他にも小さなポップコーン工場とか高いわりに特別感のない焼きそば屋とかもあった。

私は林の中を歩くとき、捨て猫がいないか細心の注意を払って歩いた。ぜひ猫を見つけて飼おうと思っていた。野良猫はたくさんいたけど捨て猫は見つけられなかった。


駅を降りて家に帰るとき林の横を通って帰る。スーパーから帰るときも林の横を通る。私とボーイフレンドはほとんど自炊をしなかったのでスーパーでお弁当を買って食べていた。


その日は大きな台風が来ると誰かに聞いていて、大きな台風が来る前にお弁当を買いに行った。スーパーの帰りに林の横を通りながらすごい量のセミの鳴き声を聞いた。木の一本一本にセミが何匹もくっついているのがみんなでギャーっと鳴いていた。林の大きさのセミがいるみたいだった。


台風は私の家を直撃せずに本州へ行った。その前の年では大阪とか京都が洪水になっていた。この年の台風は東京のほうに向かっていた。東京には私の母や父や兄やのんちゃんというとてもかわいい老犬が住んでいて、私は家族のことが心配になった。


私の母父兄たちの住んでいる部屋は1階だし、葛飾区はだいたいゼロメートル地点なので洪水になったらお家は一撃だと思った。去年の京都のように茶色い水で家が押し流されたらどうしようと思った。それは悲しいなと思った気がする。家族のことを心配するのは初めてだったかもしれない。


日本地図の上を台風はゆっくり進んでいて、私の母父兄がいる地点の他にももちろん人が暮らしている場所をずっと通って行くんだけど、私は母父兄を心配していてそれがどうしてか今度考えないといけないと思う。

 

私はアパートの101に居て少しお祈りをしたと思う。直撃はしなかったけど夜中じゅう雨と風は猛烈で窓がビュンビュン鳴り続けて、大きな雨粒が部屋にも地面にもぼとぼと降り続いていた。もうなにしてたか覚えていないけどお弁当たべて、ちょっとニュース映像見て寝たんだと思う。


昼に起きて、台風は私の母たちの住んでいる家を浸水させなかったことと、どこか茨城のほうが洪水になったことを知った。


お腹がすいたので、スーパーに行った。台風のあとだから水色に晴れていた。昨晩ほんとうに大きな声で鳴いていたセミはいなくなっていた。全員吹き飛ばされて死んじゃったんだと思います。


その昨晩のセミの本当に大きな鳴き声をずっと覚えていて、たまに思い出します。
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